日々のこと

日々のこと

「アンソーシャルディスタンス」「緊急事態下の物語」「君は永遠にそいつらより若い」「ニキの屈辱」「賢者の愛」「パンとスープとネコ日和」読了

「アンソーシャルディスタンス」
コロナ渦離婚は身近にあったし、メンタルヤバいとか延々と喋る子の顔が浮かびなから読み進めた。内容や描写は過激、ドキドキさせる場面も多々あるが、嫌悪感で読むのをやめようとか、登場人物達の感情の起伏に飲み込まれることなく読めて、すごい小説だと思う。コロナ渦での日常生活、行動変容、感情、思考を注意深く書き、人間の様々な面を提示していると思う。生きること、死ぬこと、セックス(=エンタメという文もあったよ)のこと、恋愛のこと、人間ってなんなの??陰キャラ陽キャラ問わず、多くの人が読んで、自由に思考してほしいと思った。


「緊急事態下の物語」短編集
金原ひとみ「腹をすかせた勇者たち」コロナ渦での中学生~の女の子達の生活、心情が少しでも想像できた気持ちになれて、読んで本当に良かった。気づきや考えさせられることは多々あるけど、まずは、親の都合で子供達はふりまわされて苦しい。子供達は言う。つらいのはふりまわされることよりも家族の仲が悪くなったり信じられなくなったりすることだと。そんな理不尽いっぱいの中でも笑って過ごそうとしている彼女たちは輝いていて尊敬のきもちすら持ってしまった。・・他の短編もよかったけど「腹を・・」の印象が強すぎて覚えていない(*_*)



「君は永遠にそいつらより若い」
物語の流れが私にはものすごくわかりづらくて、3回も4回もページを行きつ戻りつした。わかりづらさは主人公「わたしホリガイ」のわかりづらさと合致する。と同時に「わかりづらさ、複雑さ」は「ホリガイ」のものだけじゃないとも気づく。「君は永遠にそいつより若い」の意味がわかったとき、泣けた(心の中は号泣)わからないと唸りながらも最後まで読めてよかったと心底思った


アキコ53歳、身内はネコのタロ3歳、母は6年前に67歳に亡くなった。編集者から経理部への移動辞令をきっかけに会社を辞め、サンドイッチカフェを始める・・「~優しい言葉」さかのぼって読むと、ずいぶん全体に雰囲気が固いんだなとびっくりした。アキコの生い立ちや店をはじめるきっかけ、バイトのシマちゃんとの出会いなどもろもろクリアになってすっきりした。p76「いちばん大事なのは、自分がぶれないことよ」P98「日々の小さな部分に幸せがある。小さな事柄であっても、幸せだと思える自分が幸せだと・・」など心に留めおきたい。


主な登場人物は「フォロウミー」を行動指針としている真由子、「ちょうだいおばけ」の百合、生育環境は異なるが幼馴染で親友。百合が22歳の時に出産した直巳。痛快、シュール、‥最後は物悲しい。ラストはこれしかないのかと逡巡中。魅力的な人間になる方法、例えば色気はどうやって身につくとか、様々な楽しみ方ができる小説。P257「世の中には理不尽じゃないことなんてあるの」で現実に戻される。ドキドキはらはらし、怒りもあり、笑いもあり、悲しくもなり、・・豊かな読書時間だった



「ニキの屈辱」
村岡ニキ23歳身長153センチ、18歳~売れっ子写真家、加賀美和臣24歳写真家志望、ニキのアシスタント。ニキみたいな子を「ツンデレ」というのかしらとつらつら思いつつ読了。二人ともとても可愛い。20代かけがえのない美しくて切ない時間を見せてもらったなあ